地学を学ぶ上で大事な考えにアイソスタシーというものがあります。これは地殻の厚さを考えたりするときに必要なものです。今回はアイソスタシーについて学んでいきましょう。
アイソスタシーって?
地殻はマントルよりも密度が低いため、地殻がマントルの上に浮かんで、
浮力と重力が釣り合っているという考え方ができます。これがアイソスタシーです。
これは、水に密度の低い木やプラスチックの板が浮いていることと同じです。
上図の補償面はその上にある物質の質量が一定である面です。
密度が低い物質は密度が高い物質よりも補償面上の厚さが厚くなります。
※補償面は重力と浮力の均衡面と書かれたりすることもあります。
密度の低い地殻が厚いところでは、重力に対して浮力が多くはたらき、地殻が海水面より上に浮かびます。この浮いた部分が島や大陸です。
スカンディナビア半島とアイソスタシー
スカンディナビア半島は北欧のノルウェーやスウェーデンがある半島です。
ここは1万年前の氷河期(最終氷期といいます)に氷河におおわれていて、氷河の重さで沈み込んでいました。
スカンディナビア半島はココ!
しかし、氷河期が終わり氷河が無くなったため、マントルと地殻の釣り合い方が変わり、地殻が浮力で上昇しました。
この上昇は氷河期から1万年経った現在でも続いており、
地殻にはたらく浮力が地殻にはたらく重力より大きいため、現在のスカンディナビア半島ではアイソスタシーが成り立っているとは言えません。
アイソスタシーが成り立たない場所
スカンディナビア半島のような上昇中の土地以外にも、プレートの収束境界付近では浮力と重力以外に水平方向の大きな力が働いているため、ここでもアイソスタシーは成り立ちません。
プレートの収束境界は東日本沖にある日本海溝や世界一深いことで知られるマリアナ海溝などが有名です。
地殻の厚さを計算しよう
アイソスタシーの考えを用いることで地殻の厚さを求めることができます。
例題:地殻Aの厚さを求めよ
答えを表示
答え:5.3km
解法
補償面(それより上にある物質の質量が同じである面)より上の質量が同じであるので、地点Aの補償面より上の質量と地点Bの補償面より上の質量を等式で結び、計算する。
具体的に計算すると
地点Aと地点Bの底面積を共にSとして、地殻Aの高さをXとする。
(地点Aの補償面より上の質量)=(地点Bの補償面より上の質量)
質量は(密度)×(高さ)×(底面積)で求めることができます。
(海Aの密度×高さ×底面積)+(地殻Aの密度×高さ×底面積)+(マントルAの密度×高さ×底面積)=(地殻Bの密度×高さ×底面積)+(マントルBの密度×高さ×底面積)
(1.0×5.0×S)+(3.0×X×S)+(3.3×20×S)=(2.7×20×S)+(3.3×10×S)
両辺をSで割ると(底面積は途中で打ち消されるので、最初から書かれていない問題も多いです)
(1.0×5.0)+(3.0×X)+(3.3×20)=(2.7×20)+(3.3×10)
これを計算すると
X=5.333・・・≒5.3
よって、地殻Aの厚さは5.3㎞
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