チバニアンの露頭に行ってきた

趣味の地学

千葉県市原市の「千葉セクション」を見てきました。ここは地質時代チバニアンのGSSP、つまり地質時代を区分する地層に指定されています。

日本の地名が地質時代になったのはこれが初めてでとても注目されましたね。

千葉セクションへのアクセス

千葉セクションへは列車と徒歩で向かいました。

列車は小湊鉄道というローカル線で、鉄道マニアに人気ですね。千葉セクションの最寄り駅は月崎(つきざき)駅です。

月崎駅

月崎駅から千葉セクションまでは徒歩30分です。割と遠いです。

謎の時刻表のないバス停を発見。調べたところ房総里山goという期間限定バスのものだそう。

途中で養老川を渡ります。この川沿いに千葉セクションはあります。

養老川河口の三角州(今昔マップより作成)

ちなみにこの養老川の河口ではカスプ状三角州(尖った三角州)が発達していました。現在は埋め立てでよくわからなくなっています。

案内板

看板が見えてきました、もうそろそろです。

チバニアンビジターセンター

チバニアンビジターセンター

チバニアンのビジターセンターが設置されていました。地元も観光資源にしようと力を入れているようです。

中には地層の剥ぎ取り標本やジオラマが置かれていました。

見学を終えたら千葉セクションを見に行きます。

千葉セクション到着!

千葉セクション

こちらが千葉セクションです。

と、言われてもただの崖にしか見えませんね。ちなみに露頭に空いている穴はサンプルを取るために空けたものだと思われます。

千葉セクションが重要な理由

以下に千葉セクションが重要な理由をまとめました。

千葉セクションが重要な理由

この地層は上総層群国本層という層で、この中に含まれる百尾火山灰という火山灰が含まれます。

チバニアンが始まる77万年前はちょうど地磁気の逆転(松山-ブリュンヌ逆転)が起こっており、百尾火山灰の層はちょうどその時期のものなため、目印となり、学術的に重要な価値を持ちます。

そして、千葉セクションがGSSP( 地質時代を区分する地層 )に指定されたのは下記の条件を満たしたからです。

  • GSSP は、地質学的ステージの下限を定義する必要があります。
  • 下限は、一次マーカー(通常は化石種の最初の出現データム)を使用して定義する必要があります。
    • 二次マーカー(他の化石、化学的、地磁気反転)も存在する必要があります。
    • マーカーが現れる地平線には、放射状に日付が付く鉱物が含まれている必要があります。
    • マーカーは、同じ年齢の露頭に地域的および世界的な相関関係を有する必要があります
    • マーカーはファシーから独立している必要があります。
  • 露頭は十分な厚さを持っている必要があります
  • 堆積は、ファシティの変更なしに連続する必要があります
  • 露頭は、テクトニック運動や堆積運動、変態の影響を受けるべきではない
  • 露頭は研究にアクセスでき、自由にアクセスできる必要があります。
    • これには、露頭が迅速に訪問できる場所(国際空港と良い道路)に配置され、良好な状態(理想的には国家保護区)、アクセス可能な地形で、サンプリングを繰り返し可能にし、すべての国籍の研究者に開放できるほど広範に保たれる必要があります。

International Comission on Stratigraphy Global Boundary Stratotype Section and Points International Commission on Stratigraphy (2021年9月17日取得)より引用 を翻訳

これだとよくわかりませんね。かみ砕くと

・地層の年代を示す証拠が複数ある(化石や地磁気)

・地層内に放射年代測定ができる鉱物がある

・他の地域の地層と相関関係を持つ

・地層が周りの層に対して独立している

・十分な厚さを持つ

・層が変化を受けず連続している

・露頭がテクトニクスや堆積、変成作用の影響を受けていない

・アクセスが良い

となります。これらの地質学的、地理的条件を満たす地層が、千葉セクションにあるのです。

成田空港にも近く、露頭も見やすいので確かに認定されそうですよね。

そう考えるとなかなか貴重ですね。ただ、正直言うと地層を見るだけではよくわかりませんでしたね。地球科学は分析して研究してこそ楽しいものだと思うので奥深さはありますが。

ちなみにビジターセンターで教えてもらいましたが、百尾火山灰の百尾は、養老川の河道が曲がりくねり、琵琶のように曲がった部分が琵琶首(びわくび)と呼ばれていて、”びわくび”が”びゃくび”に変化して、百尾となったそうです。

露頭と養老川
甌穴?

甌穴はポットホールとも呼ばれ、水流により岩石が地層を掘りできた穴です。

日本では静岡の城ヶ崎海岸や岐阜の飛水峡のものが有名ですね。

千葉セクションの近くには養老渓谷などの観光地もありますし、ローカル線小湊鉄道に揺られる時間も楽しいものです。

日本初のGSSP「千葉セクション」に行って、過去の地球に思いを馳せてみるのはいかがでしょうか? ぜひ行ってみてください、おすすめです。

コメント

  1. 北村護平 より:

    サイト内の文章でGSPPとなっていますが、GSSP(Global Boundary Stratotype Section and Point)ではないでしょうか?
    動画やサイトいつも楽しく拝見しております。
    応援してます。

    • Pikaia/ピカイア より:

      ご指摘ありがとうございます。返信遅れて申し訳ないです。誤植していましたので訂正いたしました。
      応援ありがとうございます!励みになります(ㅅˊᗜˋ)*.アリガトウデス!!

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