伊豆大島巡検紀

趣味の地学

2019年某日。相模灘に浮かぶ火山島、東京都は大島町の伊豆大島に行ってきました。

個人的に初めて伊豆諸島上陸です。

フェリーで向かう伊豆大島

今回島まで行くのにはフェリーを使いました。

運賃は往復で破格の4000円!東海汽船は採算取れてるのでしょうか? まぁ利用する側としてはこの上なくありがたいわけですが。

フェリーは東京の竹橋から出ています。浜松町から歩いて15分くらい

2代目さるびあ丸

さて、こちらが今回乗船した2代目さるびあ丸です(東京での写真は消えたので伊豆大島で撮影)。この記事を書いている2021年現在は新しい3代目さるびあ丸が運行しているので、もう今では見られない光景です。

大型客船 さるびあ丸のご案内|伊豆諸島 三宅島・御蔵島・八丈島へ|東海汽船 (tokaikisen.co.jp)

今回は2等椅子席で一夜を過ごしました。伊豆大島まで8時間かかりました。

船に乗ったことが無かったので酔うんじゃないかと心配でしたが、そもそもこの船は相模湾の中を通るようなものなので、そんなに揺れず酔いませんでしたね。

ただ、リクライニングが浅い!寝心地はよくありませんでした。(今はどうかわかりません)

岡田港

島が見えてきました。こちらが岡田港(おかたこう)です。伊豆大島は岡田港と元町港の2つがあるのですが、どちらになるかは当日の天候次第だそう。元町港のほうが観光をするうえで移動距離が減るからそっちの方がよかったんですけどね。

到着!

ここからはバスを利用して島を巡ります。今回は血迷って午後2時頃に帰る予定を立ててしまいました。只今午前6時、つまり8時間でどうにか島の主要ジオスポを制覇しないといけないのです(使命)。

岡田港は島の北部にあります。今回の行程はまず南部の筆島、トウシキに向かいその後西に移動して地層大切断面、そして一度岡田港に戻りそこからバスで三原山に向かうといったルートです。

バスだと大変なので島をめぐる際はレンタカーの利用をお勧めします。

今回は一日乗車券(2050円)を利用。路線バス | 大島バス (oshima-bus.com)

筆島

筆島

大島町陸上競技場バス停を降りて、最初に来たジオスポは筆島(ふでしま)です。こちらは岩頸(がんけい)と呼ばれる地形に分類されます。昔この場所には火山があり、火道(噴火口までのマグマの通り道)のマグマが固まって、やがて火山が風化で無くなって火道のみが残って出来ました。

実は伊豆諸島は岩頸パラダイスで、須美寿島や孀婦岩など沢山の岩頸が見られるんですよ。

筆島はこんな感じなので上陸はできません。写真は後述のトウシキ・ボムサッグから撮影。

筆島 遠景

見にくいですが小さく見えます

トウシキ・ボムサッグ

トウシキ・ボムサッグ

ボブ・サップではありませんボムサッグ(BombSags)です。これは何かというと火山から飛んできた火山弾(以上の火山噴出物)が地層にめり込んだ地形です。

これが火山弾。こんなのが飛んできたらひとたまりもありません。

ちなみになぜ火山弾の所だけ盛り上がってるのかというと、火山弾が周りの地層(火山灰)よりも硬いため、火山弾の下の層が風化されずに残ったからです。これは徳島の阿波の土柱と似たようなでき方です。

カキハラ磯火山豆石

ボムサッグのところにこんな解説板。ここでは、細かい火山灰や火山礫が集まってできた火山豆石が見られます。

火山豆石

サイズ感はこんな感じ、3㎝くらい。

文学の散歩道

文学の散歩道

見事な火山灰の露頭。

こちらは文学の散歩道という遊歩道。与謝野晶子など数々の文人が訪れているそうです。

ここからバスで移動

地層断面前バス停で下車

地層大切断面

地層大切断面

地層 大切 断面ではなく地層 大 切断面。こちらではダイナミックな地層を間近に見ることができるんです! 道路工事をしたときに偶然見事な地層が見つかり、伊豆大島を代表する観光スポットの1つとなりました。地元の方によって地層が保存されているようです。

ちなみにこの露頭、褶曲していると思われがちですが、単に凹凸のある地面に堆積してできたんだそう。

バスのダイヤの関係で一度岡田港まで戻ります。

岡田港の建物はとても新しかったです。ジオステーションおかた港という施設があるのですが、空いていなかったです。

三原山

さあ今回のメインディッシュとでも言えましょう三原山に向かいます。この火山は2.5×3.2㎞のカルデラ内にある標高758mの中央火口丘です。阿蘇山の中岳と同じです。三原山はとても活動が盛んで近年では1986年に噴火がありました。この時は全島民が1か月の間避難しました。

外輪山より撮影

天気が良くないですね、この時は土砂降りでした。

ここから画像下から中央に見える登山道を通って三原山に向かいます。

登山道は山頂までアスファルトで舗装されているので思ったより疲れませんでし

た。

1986年溶岩流先端部

前述の噴火の溶岩流の先端部です。流れのあとが生々しく残っています。

ここの溶岩流はアア溶岩です。クリンカーが発達していたと思います。ハポイホイ溶岩も見られるようなのですが今回はよくわかりませんでした。

火山用語解説・プレートの動き:伊豆大島ジオパーク (izu-oshima.or.jp)

ここから登りです。

登山道にて、皮肉でしょうか?

三原神社

こちらが三原神社です。いかにもパワースポットって感じの出で立ちですね。なんとこの神社、火口から500mしか離れていないにもかかわらず、1986年の噴火では溶岩が避け、奇跡的に無傷だったとのこと。不思議な話ってあるものなんですね。

アグルチネート

こちらはアグルチネートです。アグルチネートは苦鉄質(玄武岩)の溶岩がベチャベチャと飛び散るスパターが固まってできた岩石です。溶岩流に流されてきてここで止まったのだそう。

ゴジラ岩

アア溶岩がうまい感じにゴジラっぽくなった岩です。フォトスポットとして有名なようです。昔ゴジラで三原山が出てきたこともあって島のお土産屋ではゴジラカレーなどのお土産がありました。

三原山火口

ゴジラ岩のところから10分くらい歩いて火口に着きました! 写真だとスケール感がなかなか伝わりづらいですが、なかなか雄大な景色です。噴煙が出ていました。

頭より大きな火山弾があちこちに落ちていました。凄い噴火だったのですね。こんなのに当たったらひとたまりもありません。

さて、時刻は12時、そろそろ港に向かいます。

さあ帰ろう

バスで岡田港に戻りました。今回は移動だらけでドタバタでしたがなんとか回りましたね。三原山の裏に裏砂漠という日本唯一の砂漠があり、そこに行けなかったのは悔しいです。あと、大島は明日葉とべっこう寿司が名物なのですが全く食べられず、残念。まあでも仕方ないですね。これが日帰りの限界です。

皆さんは泊まりで行くことをお勧めします。

伊豆大島は自然の火山博物館といえるくらい典型的な地形や地質構造がたくさん見られる大変魅力的な島です。ぜひ、行ってみることをお勧めします!

バイバイ伊豆大島!

帰りの船上にて。晴れやがりました、許さん。

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