なぜ沖縄に軽石が流れてきたの? 今後どうなるの? 分かりやすく解説する

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10月以降、沖縄の各島に軽石が流れ込んでいます。港湾に溜まり、船を出すことができなかったり、魚が軽石を食べて大量に死んだりと様々な影響が出ています。この軽石はどこから来たのでしょうか? また、今後どうなるのでしょうか? 解説したいと思います。

軽石はどこから来た?

そもそも、この軽石はどこから来たのでしょうか? 答えは小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」から流れてきました。名前から福岡と勘違いする方もいるかもしれませんが、本土からはるか南にあります。

この火山は今年の8月13日に噴火を起こしました。この噴火は戦後最大の大変激しいもので、噴煙の高さは16-19km、火山爆発指数(VEL)は4(及川ほか(2021))であり、1986年の伊豆大島の噴火や2000年の有珠山の噴火(いずれもVEL3)を超える規模です。

明治以降では桜島が九州本土とつながった1914年の桜島火山大正噴火に次ぐ規模(及川ほか(2021))だったようです。幸い、有人地から離れた場所であったため、付近には誰もおらず、被害者はいませんでした。

今回の噴火はプリニー式噴火という激しい種類の噴火で、膨大な量の軽石を噴出する特徴を持っています。そもそも、軽石は粘り気の強い(SiO2の割合が高い)マグマによる、激しい噴火から生成されるので、今回の軽石の量からしても噴火の激しさをうかがうことができます。

画像はイメージです

軽石はガラス質で多孔質(穴の多く空いた)の火山噴出物です。この穴は噴火時に圧力が下がり、水や二酸化炭素が急激に気化することでできます。

なぜ軽石は沖縄に流れ着いたのか?

軽石はどうやって動くのでしょうか? さすがに、ひとりでに動くというわけはなく、海の表面の流れである海流に乗ってやってきます(海流だけが原因ではありません)。

日本の南には黒潮が流れていることが知られています。しかし、今回軽石は黒潮に乗ってきたわけではありません。

小笠原諸島は黒潮が流れる領域よりも南にあり、黒潮と北赤道海流の中間付近にあるため、目立った海流が存在しません。しかし、全くないわけではなく、分支流がいくつか還流となって小笠原諸島の周辺を流れています(東京都小笠原支庁より)。

海洋表層の循環の模式図
出典:気象庁ホームページ 気象庁 | 海水温・海流の知識 海洋の循環 (jma.go.jp)

これらの還流が弱い西向きの流れを作り、今回小笠原諸島から沖縄に流れてきたのです。

こちらのシミュレーションを見ると、何度か渦に巻き込まれながら西に流れている様子が分かります。

軽石は今後どうなるのか

沖縄や本州南方には東向きの黒潮が流れています。現在、流れによって九州地方、伊豆諸島などに流れ着いているようです。

軽石の動きによって漁業などに大きな影響が及ぶ可能性があります。今後の状況に注意しましょう。

現在もまだ福徳岡ノ場の噴火状況は活発であるので、いつまで軽石被害が続くかは分かりません。デマに流されないように注意しつつ、最新の情報を注視しましょう。

参考文献

及川ほか(2021)小笠原諸島,福徳岡ノ場における2021年8月の噴火.日本火山学会予稿集,120-120.

東京都小笠原支庁、小笠原の自然の概況、小笠原の自然の概況|東京都小笠原支庁 (tokyo.lg.jp)、最終閲覧2021/11/21

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