みなさんこんにちは
つい先日、岐阜で過去に起きた大地震を調べていると、飛越地震という地震が過去にあったことを知りました。
この地震によって富山の立山カルデラ中にある池”新湯”(しんゆ)の水はただの冷水から熱い温泉に変化したそうです。
この新湯について調べてみると、玉滴石(オパール)が産出するそうなのですが、結構面白いので、今回皆さんに共有したく、いろいろ調べてみました。
新湯を作った飛越地震
今回のメインではないのですが、池の水が温泉になるきっかけとなった飛越地震について少し
飛越地震は1858年4月9日に発生したM7程度の大きな地震で、跡津川断層によって引き起こされました。
跡津川断層は日本でも有数の横ずれ断層です。
跡津川断層の様子は地形からもよくわかります。地図の中央付近を見ると、かつて直線的だった河川が、横ずれ断層によってクランク状に流路変更している様子が分かります。
新湯の場所
新湯は富山市の立山付近、急流で有名な常願寺川の上流付近にあります。
新湯は爆裂火口湖とよばれる地形です。山を持たず、地面に火口がある火山に水がたまった地形だと思ってもらって大丈夫です。
玉滴石とは
玉滴石はオパールの一種で、ハイアライト・オパールとも呼ばれます。
粒状やブドウ状に産出することが特徴的で、ウランを含んだものは緑色に蛍光することが知られています。
新湯の玉滴石
玉滴石自体が珍しく、新湯の玉滴石は国の天然記念物に指定されています。
富山県の立山カルデラ砂防博物館の2006年の調査によれば、新湯の玉滴石の堆積速度は1か月間に4.84mmのペースということが分かったそうです。
地学的な現象でこのペースはかなり速いです。
爪の伸びるスピードは0.1㎜/日と言われていますが、これより速いです。
例えば、赤石山脈の隆起速度は年間4㎜であることが分かっていて、これで大騒ぎです。
ただ、太平洋プレートの沈降速度よりは遅いですが(年十数cm程度)
池の底に容器を置き、時間がたってから引き揚げてどれくらい堆積したかを計測したようです。
鉱物の結晶は通常、地下深くなどの人間が直接観察できない場所で成長するので、実際に鉱物の成長を計測できたというのはすごい話ですね。
新湯の珪化木
木の成分がシリカ(オパールや石英の成分)に置き換えられた木のことを珪化木と言います。
赤羽ほか(1993)によると、新湯中から見つかった倒木が、10~40%ほどシリカに置き換えられており、炭素年代測定によって40数年前のものであるとわかったそうです。
それまで珪化木はその生成に100万年以上かかると考えられていたため、驚きの発見です。
参考文献
高橋泰、赤羽久忠、今井裕之、米谷正広、室井克則、國香正稔、山本茂,「立山温泉新湯のオパール調査報告」、立山カルデラ研究紀要、8、p.1-4、2007
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