みなさんこんにちは
鉱物の”長石”にはカリ長石とアルカリ長石と呼ばれるものがあります。紛らわしいですが、これらは同じなのでしょうか？それとも違うものなのでしょうか？解説します。
カリ長石とアルカリ長石は同じではない
カリ長石とアルカリ長石は同じではありません。そのため、単にアルカリ長石の略がカリ長石というわけではないのです。
しかし、全く異なるというわけではありません
カリ長石はアルカリ長石という鉱物グループの中の一部を指す鉱物グループ
という関係なのです。
長石の概要
アルカリ長石とカリ長石の違いを知るためにはまず、長石について知る必要があります。
長石はケイ酸塩鉱物と呼ばれる、主にケイ素と酸素からなる鉱物の仲間です。長石は地球表面の多くの岩石に含まれています。例えば、マグマから形成される玄武岩や花崗岩などのメジャーな火成岩にはすべて長石が入っています。
長石は(Na,K,Ca,Ba)(Si,Al)4O8の化学式で表されます。
（）は固溶体を表しており、カッコ内の元素は任意の割合で含まれます。全く含まれないこともあります。
長石の種類
長石は固溶体（複数成分が固体の状態で溶け合った状態）を形成するため、1つの種類の鉱物ではなく、多数の鉱物からなるグループです。
例えば以下のようなものがあります。
花崗岩の白い部分は斜長石、ピンクや茶色はカリ長石であることが多いです。
また、長石は宝石としても知られるものもあり、6月の誕生石であるムーンストーン（月長石）やラブラドライト（曹灰長石）などが有名です。
Simon Eugster –Simon 20:25, 14 April 2006 (UTC) – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=704828による
Didier Descouens – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=7642744による
このように、長石には多く種類があります。一般的にはカリ長石、曹長石、灰長石を端成分とした、三角図を使ってそれぞれの鉱物の存在する範囲が表されます。
上の頂点がカリ長石（Orthoclase and Microcline 訳：正長石と微斜長石）、右下が灰長石（Anorthite）、左下が曹長石（Albite）となります。
長石にはカリ長石から曹長石にかけての系列（連続する鉱物の並び）と灰長石から曹長石にかけての系列が有ります。灰長石からカリ長石にかけての系列は存在せずMiscibility gap（溶解度間隙）となっています。
三角図を見て、？？？となった方向けの説明
三角図はそれぞれの頂点が、頂点に書いてある成分の存在比率が100％、頂点に対する底辺が0％となります。
実際に下の図を使って説明してみます。
こちらの図では上の頂点がSilt、右下の頂点がSand、左下の頂点がClayとなっており、頂点で100％となります。青い線は、Clayが0,25,50,75％の時のClayの割合を示します。
同じようにSilt、Sandでも割合に対して線を引くと、交点は1つとなり、成分の状態を表すことができます。これが三角図です。
三角図では3つの成分の合計が100％になるように作られています。
アルカリ長石とは
アルカリ長石は長石類の中で、カリ長石から曹長石にかけての系列に属する鉱物をまとめたグループのことを指します。上の図では三角形の左の辺付近に属する鉱物がそれにあたります。
具体的には玻璃長石（sanidine）、アノーソクレース（anorthoclase）、曹長石（Aibite）、カリ長石となります。
アルカリというのはアルカリ金属のことで、曹長石のナトリウムと、カリ長石のカリウムはどちらもアルカリ金属元素です。
余談ですが、曹長石の曹はナトリウムを灰長石の灰はカルシウムを表す漢字です。
カリ長石とは
カリ長石は化学式KAlSi3O8で表される長石です。
この成分の長石は正長石と微斜長石があります。成分は同じですが、晶系が異なるため別の鉱物です。ただ、カリ長石としてまとめて述べられることが多いです。
まとめ
アルカリ長石…玻璃長石（sanidine）、アノーソクレース（anorthoclase）、曹長石（Aibite）、カリ長石などのアルカリ金属を多く含む長石
カリ長石…化学式KAlSi3O8で表される長石
参考資料
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