震度5弱はどれくらいの揺れか?

固体地球分野

みなさんこんにちは

日本では数か月に1回くらいのペースで震度5弱の揺れを観測する地震が発生しています。

大きな揺れなのだろうというのは分かっても、震度5弱を経験したことない人からすれば実際どのくらいなのかピンとこないと思います。

そこで今回は、震度5弱はどれくらいの揺れなのかを震度の定義や実際の映像から解説します!

そもそも震度とは?マグニチュードとの違い

震度はある地点における揺れの大きさの指標のことです。

日本では気象庁震度階級と呼ばれる震度を用いています。アメリカなどではメルカリ震度階級を用いており、これは日本のものとは全く異なります。

そのため、海外の地震について震度が報道されることは原則有りません。(台湾は気象庁震度階級とほぼ同じものを使っているため例外)

気象庁震度階級は0,1,2,3,4,5弱,5強,6弱,6強,7の10段階あります。

震度とマグニチュードの違い

震度とともに地震について表す指標としてマグニチュードがあります。

マグニチュードは地震そのものの大きさを表す指標です。

震度はある地点における揺れの大きさの指標であるため、同じ地震であっても観測する場所によって変わってきます。

例えば震源からすぐの地点は震度4で、震源から200㎞離れた地点では震度1だったといったように場所によって変わってくるわけです。

なお、震度の大きさは距離だけでなく地盤の様子や地下のプレートの分布などによって決まってきます。

一方でマグニチュードは一つの地震で必ず一つだけです。

photo by 地震調査研究推進本部 震度とマグニチュードの関係/CC BY 4.0

上の図は震度とマグニチュードの違いを端的に表しています。

震度の定義

日本の震度である気象庁震度階級は以下のように計算されて求められます。

気象庁震度階級の震度は地震の加速度をもとに計算しています。加速度は1秒当たりの速度の変化を表すものです。この加速度が大きいと揺れが激しいと言えます。

通常、加速度はm/s2 (メートル毎秒毎秒)で表されますが、地震に関してはgal(ガル)という単位を用います。

1gal=0.01m/s2 です

震度は以下のような流れで計算されます(難しい言葉は無視して構いません)

1.地震の加速度記録をフーリエ変換する。(フーリエ変換は波形を三角関数の和とする変換)

2.計算のために補正するフィルターを掛ける

3.逆フーリエ変換する(フーリエ変換の逆)

4.水平2成分、垂直1成分の波形をベクトル的に合成

5.合成したものの加速度の大きさの絶対値がa以上の合計時間が0.3秒になるようなaを求める。

6.計測震度Iとして、 I=2loga+0.94  を計算し、小数第3位を四捨五入し、小数第2位を切り捨てる。

震度5弱を震度の定義に当てはめて考える

震度5弱は加速度から計算された計測震度が4.5以上5.0未満の震度です。

これは加速度の大きさの絶対値の合計が0.3秒以上になる加速度aが約60.3~約107.2galとなります。

ちょっとこれだとピンときませんが、数値で表すとこんな感じです。

震度5弱の体感・被害

では、具体的に震度5弱の揺れの体感や被害はどのようなものでしょうか?

気象庁の気象庁震度階級関連解説表より抜粋して紹介します。

人の体感・行動

大半の人が、恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる。

屋内の状況

電灯などのつり下げ物は激しく揺れ、棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。座りの悪い置物の大半が倒れる。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。

屋外の状況

まれに窓ガラスが割れて落ちることがある。電柱が揺れるのがわかる。道路に被害が生じることがある。

気象庁ホームページ「気象庁震度階級関連解説表」https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/shindo/kaisetsu.htmlより抜粋

揺れによってものが倒れたりするため、日常的に起こる震度3などの揺れとは大きく異なっていることが分かります。

緊急地震速報

テレビなどで使われる一般向け緊急地震速報は予測が震度5弱以上などの場合に発表されます。

震度5弱の映像

具体的に映像を見ることでイメージしやすくなるため、震度5弱の揺れの様子が撮られた映像を紹介します。

※紹介する映像は地震で揺れている様子を映したものです。地震の映像によって大きな精神的ストレスを感じる方は視聴をお控えください。

最大震度5弱を観測した地震

最近、最大震度5弱を観測した地震は以下のようなものがあります。

2022年8月11日 宗谷地方北部の地震

2022年10月21日 福島県沖の地震

2022年10月02日 大隅半島東方沖の地震

2023年2月25日 釧路沖の地震

震度5弱の地震はどのくらいの頻度で起こるのか

震度5弱以上の地震は2013年から2022年の10年間で124回起こっています。

つまり、平均して月1回のペースで日本で震度5弱以上の揺れを観測する地震が発生していることになります。

参考資料

気象庁 | 震度について
震度について
気象庁 | 気象庁震度階級関連解説表
気象庁震度階級関連解説表
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