みなさんこんにちは
今回は侵食・運搬・堆積について解説します。
地球の表面では風や水、氷などの力によってその様子が絶えず変化しています。この変化は今回解説する侵食、運搬、堆積の3つの作用によって形作られています。
それぞれの作用がどのようなものなのか?どういった違いがあるのか一緒に見ていきましょう!
侵食作用
侵食作用は、地面や岩石などの表面を削り取る作用であり、風や水、氷といったものの力によって引き起こされます。
侵食作用の強さは流速の2乗に比例するという特徴があります。
河川による侵食作用
河川の浸食にまつわるキーワード🔑
下方侵食(deepening)
下向きの侵食のこと
側方侵食(ラテラル侵食、lateral erosion)
横向きから斜め下向きの侵食のこと
河川は土砂を運びながら流れ、その過程で川底や河岸を削り取ります。これが河川による侵食作用です。
侵食によってできた地形の例としてV字谷、蛇行河川などがあります。
V字谷
V字谷は峡谷とも呼ばれます。こちらの方がなじみ深い人も多いのではないでしょうか?
V字谷は下方侵食が活発な場所で形成されます。V字谷は風光明媚な景観を形作るため、有名な景勝地になることが多いです。
V字谷の例
- 層雲峡(北海道)
- 塔のへつり(福島県)
- 昇仙峡(山梨県)
- 寸又峡(静岡県)
- 黒部峡谷(富山県)
- 瀞峡(奈良県・三重県・和歌山県)
- 大歩危小歩危(徳島県)
- 高千穂峡(宮崎県)
蛇行河川
蛇行河川は曲がりくねった川のことで、侵食作用が大きくかかわっています。
河川を流れる水が、左右に波打つことによって、河岸が侵食されます。これによって蛇行河川が曲がりくねります。
流路の内側には急峻な斜面(攻撃斜面)が形成され、流路の内側にはこの後説明する堆積作用によってできる緩い斜面(滑走斜面)が形成されます。
リル・ガリ
ハワイのダイヤモンドヘッドは典型的なガリを形成している。
リル(Rill)とガリ(Gully)は、侵食作用によって形成される地形で、地盤の弱い場所で形成されやすいです。
リルは細溝とも呼ばれる地形で、水が地表を流れる際にできる細長い溝や小さな谷を指します。雨水や雪解け水が地表を流れる際に、地表の土や砂を侵食して形成されます。リルは比較的浅く、長さや幅も小さいです。
一方、ガリは雨裂とも呼ばれる地形で、リルよりも大きくて深い沢状の地形です。ガリはリルが拡大した形状です。
風による侵食作用
風による侵食作用は風食とも呼ばれます。
風や風により舞った砂などが岩石や土壌を侵食し、地形を変化させます。乾燥した砂漠地帯などでは特に顕著に見られます。
風による侵食作用でできた地形の例
傘岩(岐阜県)
傘岩は恵那市にある奇岩で、風による侵食や雨による侵食、風化作用によって傘のような形になっています。
氷による侵食
氷による侵食は氷河によるものがあります。
氷河は巨大で重い氷の塊で、これがゆっくりと動くことで地表の岩石を侵食します。氷河が流れることで、U字谷やカールなどの特徴的な地形が形成されます。
U字谷
U字谷は広い谷底と両側の急な崖が特徴な谷で、アルプス山脈などでよく見られます。U字谷に海水が流入するとフィヨルドとよばれます。
カール
カールは氷河が侵食してできる地形で、スプーンでえぐったような形をしています。国内にも涸沢カールなどの複数のカールが見られます。
侵食作用と砕屑物
砕屑物は礫や砂、泥などの総称です。
侵食作用は、地表の物質を削り取る作用であり、その結果として砕屑物が生成されるため、侵食作用と砕屑物は密接に関連していると言えます。
運搬作用
運搬作用は、自然の力によって地表の岩石や砂、土などの物質が移動される現象を指します。主な運搬要素には水、風、氷があります。
運搬は浮遊して運ばれたり、粒子が回転したり飛び跳ねたりして運ばれます。
運搬される粒子の体積は”流速の約6乗に比例[1]”します。
[1]日本大百科全書(ニッポニカ),小学館,https://kotobank.jp/word/%E9%81%8B%E6%90%AC%E4%BD%9C%E7%94%A8-35720
河川による運搬作用
水による運搬作用は例えば河川によるものがあります。水の流れによって、礫や砂、泥が持ち上げられ、運搬されます。河川では、流れの速度と運ばれる粒子の大きさによって運搬能力が変化します。粒径の大きい礫は流れの速い河川の上流付近までしか運搬されませんが、粒径の小さな泥は下流や海まで運搬されていきます。
風による運搬作用
風による運搬作用は、風が地表の砂や粘土を持ち上げ、飛ばされることによって起こります。風速によって運搬能力は変化します。
例えば、ゴビ砂漠などから日本に運ばれる黄砂は風による運搬作用の一例と言えます。
氷による運搬作用
氷による運搬作用は主に氷河によって行われます。氷河の移動に伴い、礫や砂、泥などが移動します。
堆積作用
堆積は、地球の表面において物質が沈殿・蓄積する作用のことです。
堆積は、水の流れや風のエネルギーが低下する場所で起こります。運搬されていた粒子が、運搬能力が低下することで、重力によって地表に堆積します。
堆積したものを堆積物と呼びます。堆積物には砂、泥、礫などの砕屑物や火山灰、微生物の化石などがあります。
堆積物は時間の経過とともに層を成し、地層を形成します。地層には地球の過去の環境や気候の変化、生物の進化に関する多くの情報を保存しています。また、堆積物の中には石油、天然ガス、鉱物などの重要な資源も含まれます。
堆積地形の例
堆積地形はあまりに多いので何例かだけ紹介します。
河川による堆積地形
扇状地
扇状地は、山岳地帯の斜面から川が流れ出て平地に広がる場所で見られます。急勾配な山岳地帯で川が流れる際に、勢いよく運搬された粒子が、平坦な低地で架線の流速が弱まることで堆積します。その結果、扇状の扇状地が形成されます。扇状地は扇頂(扇状地の頂点)付近で粒子が大きく、扇端(扇状地の末端)付近で細かくなる特徴があります。
三角州
三角州は、河口付近で流速が遅くなり、運搬能力が低下することで砕屑物が堆積して形成されます。
三角州の形状は堆積する場所の潮流や供給される堆積物の量などによって変化します。
沿岸流による堆積地形
砂州
砂州は、海岸や河口などの水域において、波や水流によって形成される地形です。
日本では天橋立(京都府)などが有名です。
風による堆積地形
砂丘
砂丘は風によって砂が運ばれ、堆積し、次第に山のような形に積み重なってできた地形のことです。乾燥した地域でよく見られます。
日本では鳥取砂丘(鳥取県)や中田島砂丘(静岡県)が有名です。
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