みなさんこんにちは
今回は風化作用についてです
「記憶を風化させない」などといったように比喩で使われることもある風化という言葉ですが、風化とは一体何なのでしょうか?
今回は実際の例とともに風化作用にはどのようなものがあるのか?どうやって起こるのか解説します。また、物理的風化と化学的風化の違いも解説します。
風化作用とは
風化作用は、温度変化や体積変化、化学反応などによって岩石などが変化・分解される作用のことです。
風化作用には主に物理的風化、化学的風化、生物風化があります。
風化作用の重要ポイント!
風化にはいくつかの種類(物理的風化・化学的風化・生物風化)がありますが、これらは通常同時に進行しています。
風化作用によって多様な地形や構造が形成されます。
物理的風化
物理的風化は化学変化を伴わず、温度変化や体積変化などによって岩石などが割れたり崩れたりする風化のことです。
以下では物理的風化の具体例を紹介します
塩類風化
塩類風化は、海岸などの塩分の多い場所で起こる風化です。塩分の結晶化によってかかる圧力などによって岩石が破壊されます。
タフォニ
塩類風化によってできる地形としてタフォニが有名です。
凍結風化
凍結風化は主に水の凍結によって起こります。
凍結風化の重要ポイント
水は凍結すると体積が9%ほど膨張する特徴があります。
多くの物質は固体になると体積が減少するので水は珍しい性質を持っていると言えます。
岩石の亀裂に水が浸透し、それが温度変化によって凍結することによって、水の体積が増加します。この時に岩石に大きな圧力がかかり、亀裂を拡大します。
凍結風化は温度が0度以上と0度以下を行き来するような温度変化を示す地域に多く見られます。
亀裂に浸透した水が凍結→体積増加で亀裂を拡大→温度上昇で融けた水がさらに岩石の奥まで浸透→堆積増加で亀裂を拡大…
といった具合でどんどん岩石の破壊が進行するためです。
乾湿風化(スレーキング)
乾湿風化は乾燥状態と湿潤状態が繰り返されることによって起こります。
乾湿風化の重要ポイント
粘土などに含まれる粘土鉱物は膨潤性という、水を含んで膨らむ性質をもつものがあります。
例えばモンモリロナイトは膨潤性を持っており、水を含むと何倍にも膨らみます。
乾湿風化が起きやすい場所として満潮時に水に浸り、干潮時に露出するような場所があげられます。
水に浸っているときは岩石内部に水が浸透し、粘土鉱物が膨潤することで岩石に圧力がかかり、岩石が破壊されます。
干潮時に露出すると粘土鉱物は収縮します。これにより、亀裂が拡大すると、次に水に浸ったときにさらに水が奥まで浸透し、亀裂が拡大します。
鬼の洗濯板
乾湿風化でできた地形として宮崎県の青島にある鬼の洗濯板が有名です。
砂岩と泥岩が交互に積み重なった層(砂泥互層)で、粘土鉱物を多く含む泥岩が選択的に風化されたことによってまるで洗濯板のような地形を形づくっています。
化学的風化
化学的風化は、岩石などが化学反応によって分解・変質する風化のことです。
以下では化学的風化の具体例を紹介します。
加水分解
加水分解は水が反応に関与して物質が分解されることです。
加水分解によって岩石中のCa,Mg,Na,Kなどが溶脱し、風化します。
溶解
溶解は鉱物が水に溶けることによって起こる風化です。
石灰岩の溶解が有名です。石灰岩の溶解によってできた地形はカルストと呼ばれます。
二酸化炭素の溶けた水(雨水など)が石灰岩と反応することで起こります。
石灰岩の溶解に関する化学式
CaCO3(石灰岩)+H2O+CO2→Ca2++2HCO3-
溶解によってできる地形であるカルストでは以下のような地形がみられます
鍾乳洞
鍾乳洞は石灰岩が溶解したことによってできた地下の空洞のことです。
洞内には溶解した石灰岩が再結晶してできた鍾乳石や石筍などの多種多様な地形が形成されます。
鍾乳洞はその美しさから観光名所となることも多いです。
生物風化
生物風化は生物によって引き起こされる風化のことです。生物風化は物理的風化及び化学的風化に含まれる場合もあります。
例えば、植物の根が成長することによって岩石を砕いたり、微生物由来の酸によって化学的風化が起きたりします。
参考資料
用語の解説|地質を学ぶ、地球を知る|産総研地質調査総合センター / Geological Survey of Japan, AIST (https://gbank.gsj.jp/geowords/glossary/ha.html)
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