皆さんこんにちは
今回はタービダイト(Turbidite)についての解説です。プレートの沈み込み帯付近に位置する日本は地殻変動が盛んであるため、多くのタービダイトが形成されています。
この記事ではそもそもタービダイトとは何か?タービダイトの特徴は何かなどを解説します。
タービダイトとは
タービダイトは、海底や湖底などで、混濁流によって運搬された、砕屑物(礫や砂、泥など)などの粒子が堆積してできた堆積物のことです。
タービダイト中には特有の堆積構造が多く見られます。
タービダイトが繰り返し起こることによって砂岩泥岩互層が形成されます。
混濁流(乱泥流)とは
タービダイトは混濁流によってできると言いましたが、そもそも混濁流とは何でしょうか?
混濁流は乱泥流とも呼ばれる海底での土石流の一種で、水中で未固結の堆積物が攪拌され、海底深部へと流れ下る現象のことです。
混濁流は地震をはじめとした様々な要因によって発生すると考えられています。
混濁流についての実験の様子を収めた動画を見つけたので共有します。
また、混濁流は海底チャネルと呼ばれる海底版河川地形を形成することでも知られています。
タービダイトと混濁流の違い
よく、タービダイトと混濁流がごっちゃになってしまうので違いを再確認します。
混濁流→海底での土石流の1種(現象名)
タービダイト→混濁流による堆積物
タービダイトは英語でTurbiditeと表記します。-iteは岩石名や鉱物名を表す接尾辞であるので、どっちがどっちか分からなくなったら、-iteが付いているからタービダイトは堆積物の方だと考えると良いです。
そもそも混濁流は”流”がついているので現象名っぽいなというイメージを持つことも良いです。
これらがごっちゃになると理解に影響が出るので間違えないようにきちんと覚えましょう。
タービダイトと砂泥互層との違い
混濁流が流れ下っていく海底深部は普段は泥が堆積するのですが、たまに混濁流が砂をもたらすことで砂の層も堆積します。
これが複数回繰り返されることによって泥岩層と砂岩層が交互に積み重なった砂岩泥岩互層が形成されます。
タービダイトはこの砂岩泥岩互層全体ではなく、混濁流によってできた“砂岩層とその上部の泥岩層の一部”を指すので注意してください。(そのほかの泥岩は普段海底に堆積している泥岩です)
ただ、砂岩泥岩互層は他の理由によっても形成されることが多いです。そのため、砂岩泥岩互層があるから混濁流によってもたらされたタービダイトが有ると言い切ることはできません。
タービダイトであるかどうかは堆積構造や堆積環境から判断されます。
タービダイトに見られる堆積構造
ブーマシーケンス(Bouma Sequence)
タービダイトに見られる堆積構造として代表的なものにブーマシーケンスがあります。
ブーマシーケンスは混濁流が形成する一連の堆積順序のことです。
- 泥岩
- 平行葉理
- カレントリップル
- 平行葉理
- 級化構造
の順番で堆積しています。
以下で詳しく解説していますので良ければご覧ください。
カレントリップル
カレントリップルは1方向の流れのある場所で形成された波状の堆積構造です。
級化構造(グレーディング)
級化構造は層を構成する粒子の粒径が堆積時の上方向に向かっていくにつれて小さくなっていく構造のことです。
大きな粒子ほど重いため早く堆積し、小さい粒子は軽いため遅く堆積します。これにより形成される構造です。
タービダイトが見られる場所
室戸岬(高知県)
房総半島(千葉県)
青島(宮崎県)
これらは例で、ほかにもたくさんあります。
参考資料
絵で見る地球科学|地質を学ぶ、地球を知る|産総研地質調査総合センター / Geological Survey of Japan, AIST (gsj.jp)
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