鉱物用語をわかりやすく解説する(1)化学式・モース硬度・へき開

趣味の地学

鉱物の性質を示すために様々な用語が使われます。今回はどのような用語があるのか解説します。

化学式

Colin BehrensによるPixabayからの画像

そもそも、鉱物とは何でしょうか?

地殻中に存在する無生物で、均質な固体物質。一定の物理的・化学的性質をもち、大部分は結晶質の無機物。

小学館 デジタル大辞泉より

以上からわかるように鉱物非生物の化学物質です。そのため、化学式は重要な指標です。

例えば、石英(quartz)はSiO2、黄鉄鉱(pyrite)は(FeS2)となります。

モース硬度

鉱物の硬さの尺度の代表的なものにモース硬度があります。基準となる鉱物が10個あり、硬度が未知の鉱物と基準鉱物をこすり合わせ硬度が未知の鉱物が削れれば基準鉱物に対してモース硬度が高いと言え、逆であればモース硬度が低いといえます

モース硬度で言われる”硬さ”は傷の付きにくさの指標であるので、叩いて割れにくいというわけではありません。

例えば、最も硬いモース硬度10のダイヤモンドはトンカチで叩くと砕けます。ネットで検索するとダイヤモンドを割ってる動画が出てくるので良ければ見てみてください。

モース硬度の基準鉱物を以下に示します。

モース硬度基準鉱物身近なものの硬さ
1滑石
2石膏2.5 人間の爪
3方解石3.5 10円玉
4蛍石4.5 鉄くぎ
5燐灰石
6正長石
7石英
8トパーズ
9コランダム
10ダイヤモンド

このモース硬度は相対的な硬度であるため、硬度と絶対的な硬さが比例しているわけではありません。ビッカース硬度という機械を使って計測する絶対的な硬度で考えると、モース硬度1の滑石と2の石膏のビッカース硬度の差は10であり、モース硬度9のコランダムとモース硬度10のダイヤモンドは4900もあります!(データによっては違いがあるのであくまで目安としてご覧ください)。

モース硬度とビッカース硬度

このようなざっくりとした基準では使い物にならないと思う人もいるかもしれませんが、鉱物をこすり合わせるだけで分かるモース硬度はその手軽さから今でも広く使われています。

へき開

へき開(劈開)は鉱物の割れやすい方向を示す用語です。

鉱物の結晶を構成する原子の並び方(結晶構造)によって、鉱物には割れやすい向きが存在します。へき開はこの性質によって存在します。へき開に沿って割れた結晶面をへき開面といいます。

ちょっと難しい話になりますが、なぜへき開が存在する理由の一つを解説しようと思います。

例として岩塩(NaCl)の結晶を見てみましょう(下図)

OpenClipart-VectorsによるPixabayからの画像

岩塩は陰イオン(Cl)と陽イオン(Na+)からなるイオン結晶と呼ばれる結晶です。イオンは陽イオンと陰イオンがあり、同じイオン同士は反発し、違うイオン同士は引き合う性質があります。これは磁石のS極とN極の関係と同じです。

へき開の仕組み

このイオン結晶に力が加わるとイオン同士が反発して、結びつきが弱くなるためへき開面に沿って割れます。イオン結晶以外でも、力が加わることで結合が弱くなることでへき開が起こります。

へき開の段階

へき開には段階があり、厳密に定められているわけではないが、「完全」、「明瞭」、「不明瞭」、「なし」などに分けられます。(完全の上に「きわめて完全」があったりします)

方解石や蛍石は「完全」

方解石

長石類などは「明瞭」

ラブラドル長石(ラブラドライト)

石英、黄銅鉱などは「不明瞭」

石英

金や銅などは「なし」

へき開の向き

結晶の原子配列によってへき開の向きが決まります。

例えば、方解石の場合はその原子配列から、3つの方向に割れやすいです。この場合方解石は3方向にへき開をもつと言えます。

へき開の段階と合わせて方解石の場合へき開は「3方向に完全」といえます。

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