マグマからできる岩石は白っぽいものや黒っぽいものなどがあります。この色の違いはなぜ生じるのでしょうか? 今回は結晶分化作用について学びましょう!
マグマの生じ方
そもそも、マグマはどのようにできるでしょうか? これには主に2つのでき方があります。
ホットスポット
地下深くのマントル内の高温な上昇流であるホットプルーム(Hot plume)が地表付近に達するとプルームにかかる圧力が下がり、液体になって生じます。
ホットスポットはハワイやアイスランドのものが有名です。
マントルは固体なので、プルームも固体です。固体であっても塑性変形(そせいへんけい)という変形を起こすことで非常にゆっくり動きます。
火山フロント
プレートの収束境界(大陸プレートと海洋プレートがぶつかり合い、海洋プレートが沈み込むプレート境界)より少し大陸側には火山フロント(火山前線)と呼ばれる場所があります。
ここは、沈み込んだ海洋プレートが深さ100~150㎞程度に達する場所です。
深さ100~150㎞を超えると温度と圧力が高くなり、海洋プレートから放出された水がマグマの融点を下げることで、この深さでマグマが発生します。
日本の活火山の分布をみると火山フロントより大陸側にあることが分かります。千葉や茨城に活火山がなかったり、温泉が少ないのは地理的な位置が火山フロントより太平洋側にあるからです。
今回の結晶分化作用は日本をはじめとした火山フロント地域で見られます。
結晶分化作用
マグマの中には様々な成分が含まれており、これらの物質の融点は異なっています。そのため、マグマが冷えていくにつれて含まれる鉱物が違う温度で固体になります。
この、「温度が下がるにつれて鉱物が違う温度で結晶化していき、分かれていく様子」を分化といい、結晶が分化していくので、結晶分化作用です。
鉱物が固体になることで、マグマの成分は固体になった鉱物を除いた成分に変化します。
図2の説明
- まず、玄武岩質マグマ(本源マグマ)が地下深くにあります。
- このマグマが時間がたつにつれて冷えていき、まず玄武岩質マグマのうちの融点が高い鉱物が固体化し、斑レイ岩ができる。(玄武岩質マグマが地下深くでゆっくり冷えて固まると等粒状組織を持つ深成岩の斑レイ岩ができる)
- 斑レイ岩の成分(カンラン石や輝石)は固体化し、まだ液体の鉱物のなすマグマは安山岩質マグマと呼ばれる。
- 同様に閃緑岩や花崗閃緑岩ができ、デイサイト質マグマや流紋岩質マグマができる。
- デイサイトは安山岩と流紋岩の中間の性質を持つ火山岩(浅いところで急速に冷却されてできる岩石)
- マグマの名称は火山岩に因むので注意、火山岩と深成岩を対応させて覚えましょう。
- 結晶(固体)はマグマ(液体)よりも密度が大きいので、冷却して沈殿する。現実でも下に融点が高い岩石があり、グラデーション状に岩石が変化していることがあります。
図2でどの深成岩がどの斑レイ岩と対応しているのかわからなくなった方向け。
玄武岩質が黒っぽく、流紋岩質が白っぽいです。
デイサイト質のものをを除くと、新幹線は刈り上げ(深(深成岩)花(花崗岩)閃(閃緑岩)は(斑レイ岩)火(火山岩)り(流紋岩)あ(安山岩)げ(玄武岩))で覚えられます!
注意!
おもな本源マグマは玄武岩質マグマ、花崗岩(かこうがん)質マグマであるが、このほかにも安山岩質マグマもあり、さらに、玄武岩質マグマにもソレアイト質のもの、アルカリ質のものなど、いくつかの系統があると推定されている。
小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) マグマ 日本大百科全書(ニッポニカ)収録キーワード一覧 97160件目から97230件目 – コトバンク (kotobank.jp) (2021年10月13日取得)より引用
図2では本源マグマを主な本源マグマである玄武岩質マグマとして説明していますが、本源マグマにはいくつかの系統があるので注意してください。
コメント