皆さんこんにちは! 今回は城ヶ島のジオサイトを見てきたので紹介します。
このサイトを見ていただければ城ヶ島の地層を一通り巡れると思います!
この記事では主に城ヶ島の地質構造と地形、アクセスについて解説します。地層そのもの(年代や堆積環境)についてはまた別の記事で紹介しようと思います。
※注意を払っていますが、間違った事が書いてありましたら、コメントでご指摘ください。よろしくお願いします。
城ヶ島について
城ヶ島は神奈川県の三浦半島の南にある島です。最寄り駅は京急本線の三崎口駅。そこからバスで30分で到着です。
東京や横浜からも近く、アクセスも悪くないため、週末は観光客でにぎわいます。
今回は京急の三浦半島1DAY切符を使いました。金沢文庫以南の京急線と京急バスが乗り放題です。
電車・バスで城ヶ島や三浦、逗子などを巡るならかなりお得だと思います。
三浦半島1DAY・2DAYきっぷ | おトクなきっぷ | 京浜急行電鉄(KEIKYU)
城ヶ島へ向かう
城ヶ島の最寄り駅、三崎口です。
駅周辺は畑が広がっており、のどかな場所です。
城ヶ島行きのバスは2番乗り場です。
ジオサイトを巡るなら、終点の「城ヶ島」バス停で降りることをお勧めします!
城ヶ島のジオサイト
今回紹介する城ヶ島のジオサイトは以下の場所です。これらを順番に巡ります。
- 楫の三郎山
- 灘ヶ崎の互層
- 観光橋
- 火炎構造
- 長津呂
- 馬の背洞門
- 赤羽根海岸
- 旧安房埼灯台
楫の三郎山(かじのさぶろうやま)
楫の三郎山は城ヶ島バス停から西に50mほど行ったところにある小さな丘です。
この丘の斜面にはタフォニが発達しています。
タフォニは海岸でよくみられる無数の穴が特徴的な地形です。岩石の隙間にしみ込んだ海水中の塩分が結晶化して、その結晶が成長することで圧力がかかり風化することでできるようです。物理的風化の一種というわけです。
ここは違いますが、特に大きなタフォニが見られる場所ではタフォニの中に神社のほこらがあるような場所もあるのだそう。
集合体恐怖症の人は見ないほうが良いかも?
登ると案内板がありました。
灘ヶ崎(なだがさき)
灘ヶ崎の地層には面白い地質構造がいくつも見られます。
灘ヶ崎の互層(ごそう)
灘ヶ崎は楫の三郎山から東に40mほど行った場所にあります。
この場所では黒い層と白い層が交互に堆積しています。このような地層を互層といいます。
互層は “性質の異なる地層が、交互に繰り返し堆積している地層(用語の解説|地質を学ぶ、地球を知る|産総研地質調査総合センター / Geological Survey of Japan, AIST (gsj.jp))”のことです。
この場所の互層は海底で混濁流と呼ばれる、土砂の流れが繰り返し発生し、その土砂が堆積してできました(この堆積物をタービダイトと呼びます)。そして、それが海底の隆起で地上に見られるようになりました。地層の傾きは隆起の過程で生じました。
ここの地層の傾斜は80度近くあります。
宮崎の鬼の洗濯板に似ていますが、あれも 互層です。
灘ヶ崎の断層(だんそう)
灘ヶ崎に来てみると、地層がスパッと切れている場所が無数にみられます。この切れた地層を断層といいます。断層は強い力が加わったときにできます。
圧縮する力が働くと逆断層、引っ張る力が働くと正断層、横向きに力が働くと横ずれ断層ができ、城ヶ島にはすべてあります。(私の見間違えかもしれません、少なくとも逆断層と横ずれ断層はありました。)
城ヶ島では灘ヶ崎以外でもたくさんの断層を見ることができます。 ちなみに、三浦半島は三浦断層群があり、とても断層が多い地域として知られています。
こちらが断層の写真です。こちらは横ずれ断層です。
灘ヶ崎の断層条線
断層が動いた際の引っ掻き傷として残る線のことを断層条線と言います。灘ヶ崎ではこの断層条線を見ることができます。
こちらがその断層条線の写真。よく見るとオレンジの線のところに動いた跡が残っています。
観光橋(かんこうばし)
灘ヶ崎から少し南に行くと京急のホテルがあり、その手前に観光橋があります。
この赤い橋が観光橋
観光橋付近のスランプ構造
そのすぐ近くの露頭では、スランプ構造を見ることができます。スランプ構造は未固結の地層が海底地すべりに巻き込まれることによってぐにゃりと曲げられてできます。
いくつものスランプ構造が見られます。
観光橋付近の露頭
この露頭をよく見てみましょう。表面が白くなっていることがわかります。これはおそらく塩分であると考えられます。
観光橋から相模湾を望む
相模亭裏(さがみてい)の火炎構造
相模亭はこの露頭のすぐ近くにあるお店の名前です。
観光橋からさらに南に向かうと、また地層があり、その中に白い地層があることがわかります。ここの白い地層をよく見てみましょう。炎が揺らめくような形をした層が見られます。この構造を火炎構造(フレームストラクチャー)と言います。ここの火炎構造は教科書になるほど有名なものです。
火炎構造は未固結の地層の上に重い堆積物がのしかかると、未固結の地層が上に吹き上がり、炎のような形になってできます。ちなみに、このようなでき方の構造を総称して荷重痕と言います。
火炎構造と逆断層の共演。美しい。
相模亭裏のクロスラミナ
この付近の地層をよく見てみましょう。すると写真のような、斜めに線が入った構造を見ることができると思います。これクロスラミナと言います。クロスラミナは水流がある所で川底や海の底の粒子が流されてできます。
YouTube にクロスラミナのでき方についてわかりやすい動画が上がっていたのでシェアします。
このクロスラミナはここだけでなく全国の多くの露頭で観察することができる構造です。今度崖などを見つけたらぜひ観察してみてください。クロスラミナが見られるかもしれません。また城ヶ島の中でもクロスラミナが見られる地層は他にも多くあります。
ここからは東に向かいます。目指すは1 km ほど先にある馬の背洞門。
注意
この付近は崖が切り立っています。また波も高いので、安全のためにあまり海に近づかないようにしましょう。
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コメント
いつも読みやすい記事をありがとうございます。
さて、楫の三郎山におけるタフォニの形成過程の説明が「化学的風化」となっていますが、タフォニは塩類風化によって形成されるものですので「物理的風化」ではないでしょうか。ご確認をお願いいたします。
返信ありがとうございます。
ご指摘の通り、物理的風化ですね。訂正させていただきます。