群馬県のジオスポット22選!(地学の楽園群馬編)

地学の楽園

皆さんこんにちは、Twitterの方で「地学の楽園シリーズ」と題して各県の地学スポットを紹介しているピカイア(@pikapikapikaia)です。見てくださった方々、ありがとうございます。毎回多くの反響があってとてもうれしいです。この企画を通して地学に興味を持っていただいたり、調べたり、実際に足を運ぶきっかけになればと思っています。

さて、今回は第4弾の群馬編の詳細です。県内の地学的スポットを22個ご紹介します!

※今回は何スポットか所在地を間違えてしまいましたので、こちらで訂正します。ご指摘ありがとうございました。

内容に誤りがあったり、誤字誤植があればコメントの方から教えてください。

溶岩の奇勝”鬼押出し”

鬼押出しは嬬恋村にある溶岩によってできた景勝地です。1783年の浅間山の天明大噴火によってできました。噴火が浅間山の火口で鬼が暴れて岩を押し出したという印象だったことがその名の由来なのだそう。

カルデラ湖!(榛名湖)

榛名湖は高崎市榛名湖町にあるカルデラ湖(正確には火口原湖)で伊香保温泉にも近いことから群馬有数の観光地となっています。榛名湖の湖畔にある榛名富士は中央火口丘と呼ばれる地形で、榛名湖は火口原という中央火口丘と外輪山の間の場所に水が溜まってできた火口原湖です。

噴火に飲み込まれた村(鎌原村)

1783年の天明大噴火では周辺部に多大なる被害が出ました。中でも特にひどかったのが鎌原村です。本噴火によって発生した火山泥流によって村民約750人のうち、高台の鎌原観音堂に逃れた93人しか助からなかったという悲惨な出来事でした。

鎌原村はイタリアのヴェスビオ火山の噴火で埋まったポンペイに因んで「東洋のポンペイ」と呼ばれることもあります。

鎌原観音堂は現在も半分以上の石段が埋まった状態で残っており、以前発掘調査を行ったところ、非難するために石段を上る途中に泥流に巻き込まれた人の骨が発見されたことが有名です。

浅間山の火山泥流についての論文を見つけたので共有します。

浅間山天明噴火時の鎌原火砕流から泥流に変化した土砂移動の実態 (jst.go.jp)

日本三大奇景のひとつ(妙義山)

妙義山は下仁田町にある山で、下仁田ジオパーク内でも目玉のジオスポットです。

600万年前にできた火山が長年風雨に曝され、風化した結果、現在の岩肌むき出しの独特な姿になりました。

天然の冷蔵庫(荒船風穴)

荒船風穴は下仁田町にある風穴です。この場所では崩壊した角礫の隙間から平均0.6℃の冷気が吹き出します。このことを利用し、付近で盛んな養蚕で使われる蚕の卵を保管する施設として利用されました。なお、この場所は世界遺産に指定されています。

なお、ツイッターの投稿の方で荒船風穴は溶岩トンネルという旨を書きましたが、これは全く違います。訂正させていただきます。

荒船風穴の地質と冷風についての論文を共有します。

302 Found

さざ波の化石(瀬林の漣痕)

瀬林の漣痕は神流町にあります。漣痕とはさざ波が海底につくる跡のことで、よく”さざ波の化石”と呼ばれます。(漣は訓読みでさざなみ) また、リップルマークとも呼ばれます。

漣痕自体は色々な場所で見られるなのですが、この場所の特筆すべき点として、漣痕の見られる露頭上に日本で初めて見つかった恐竜の足跡があるということです。この漣痕のある神流町は白亜紀前期の地層が分布していて、恐竜の化石が数多く見つかっています。

恐竜の化石

神流町には白亜紀前期の地層からなる山中地溝帯という凹地帯があり、ここでは多くの恐竜を始めとした白亜紀の生物化石が産出しています。

町内には恐竜の博物館である神流町恐竜センターがあり、現在は一時中止中ですが、化石の発掘体験、化石探しを体験することができます。

神流町恐竜センター|恐竜骨格の展示や化石発掘体験ができる!
神流町恐竜センターでは、恐竜骨格の展示や化石発掘体験、レプリカ作製体験が楽しめます。恐竜の化石や標本などを本館と別館で展示。野外展示のティラノサウルス産状骨格(12m)もあります。

クソデカ鍾乳洞(上野村)

不二洞は上野村にある鍾乳洞で、その長さは関東最長です。平成4年にも新たな肢洞が見つかっており、全貌わかっていないのだそう。

特集ページ:関東一のデカい鍾乳洞「不二洞」 : 【公式】旅する上野村
群馬県上野村は東京から2~3時間の大自然。関東最大級の鍾乳洞、高さ90mにある上野スカイブリッジなど見どころもいっぱいです。村民のモノづくりへのこだわりと愛情が詰まった特産品(十石みそ、猪豚、しいたけ、木工品)は、お土産に喜ばれる人気商品です。上野村が誇る自然の中で、癒し、グルメ、アクティブ、散策など、ひと味違った旅を...

根無し山(跡倉クリッペ)

跡倉クリッペはクリッペと呼ばれる地形で、通称根無し山です。衝上断層と呼ばれる、逆断層のうち角度が浅い(45度以下)断層によってどこからか運ばれてきた層が侵食され、山ができた地形です。ただ、どこから運ばれてきたかは不明なのだそう。

ツイッターの方では褶曲によってできた旨を書きましたが、これは誤りです。跡倉クリッペの成因は分かっていません。言い訳をすると、衝上断層による地形であったので勝手に褶曲によるものと断定してしまったためです。

片岩で有名な三波川(三波石)

三波石は藤岡市の三波川で産出する結晶片岩です。群馬県のローカルかるた「上毛かるた」の「さ」の札に読まれているため、群馬県民の方にはご存じの方も多いかもしれません。

結晶片岩は低温で高圧な環境下で変成した岩石です。因みに、三波川は日本最大の広域変成帯(広域変成作用とよばれる変成を受けた地域)である三波川変成帯の名前の由来として知られています。

日本では珍しい川の作った砂丘(河畔砂丘)

河畔砂丘は館林市、大泉町、邑楽町で見られる地形です。砂丘は湿潤な日本の環境では出来づらく、利根川、最上川、木曽川流域の限られた地域でしか見られません。ここの利根川沿いの河畔砂丘は「鞍掛山脈」などとも呼ばれているようです。

コノドントの博物館(コノドント館)

コノドント館はみどり市にある博物館です。コノドントとはカンブリア紀から三畳紀に生きていた生物の器官の化石で、その大きさは1ミリ程度までととても小さいです。その正体は謎に包まれていましたが、研究が進み、現在はクリダグナサス(Clydagnathus)などの歯の化石ではないかと考えられています。

なお、本博物館にはコノドントなどの化石の他に、歴史や自然に関する展示も多くされています。

みどり市大間々博物館|群馬県みどり市
群馬県みどり市

溶岩ドームとカルデラ群(赤城山)

赤城山は前橋市、桐生市、渋川市、沼田市、昭和村にまたがる山で、上毛三山の一つに数えられます。複数回の噴火によってできた複成火山で、大沼などのカルデラ湖、火口湖や複数の溶岩ドームを擁しています。

新鉱物”鈴木石”

鈴木石は鉱物学者松原聰氏らによって1982年に発表された新鉱物で、桐生市内の鉱山で発見されました。

河岸段丘といえば沼田

沼田は日本有数の河岸段丘を見ることができる場所として知られています。沼田駅と沼田市街は河岸段丘のため、80mの高低差があります。

河岸段丘の成因についての論文を共有します。

利根川水系片品川流域の地形発達史
J-STAGE

東洋のナイアガラ(吹割の滝)

吹割の滝は沼田市にある景勝地です。火山噴出物が作る岩石である凝灰岩を川が削り、美しいV字谷に水が流れ込むその様子から、”東洋のナイアガラ”と称されています。

泥炭地特有の池”池塘”(尾瀬の池塘)

片品村、福島県檜枝岐村、新潟県南魚沼市にまたがる尾瀬ヶ原では池塘と呼ばれる湿原などの泥炭地で見られる池が無数にあります。この水は地下水や川からではなく、雨によって供給されており、周囲と隔絶された特異な環境を作り出しています。

雪の作用でできたくぼ地(巻機山の雪食凹地)

巻機山はみなかみ町と新潟県南魚沼市の三国山脈にある山です。ここでは周氷河地形と呼ばれる、氷河の周りで見られる地形が多くあります。雪食凹地や周氷河性平滑地形と呼ばれる地形が見られます。なお、これらの地形は今よりずっと寒い氷河期に形成されました。

巻機山の周氷河地形に関する論文を共有します。

三国山脈主稜線周辺の化石周氷河性平滑斜面・化石雪食凹地
J-STAGE

ケスタ地形

みなかみ町の三峰山ではケスタと呼ばれる地形が見られます。ケスタは硬い地層と軟らかい地層が緩く傾斜して風化することで、少し傾いた平らな山頂と急な崖が見られます。三峰山は地層が南に緩く傾いています。

3.地質を反映した地形 | 国土地理院

石が川底に穴を空けた!(四万の甌穴群)

甌穴はポットホールとも呼ばれる地形で、石などの粒子が流れによって川底を削ることでできる穴のことです。

pH1.2…”死の川”(湯川)

湯川上流には草津温泉などがあり、ここから流れ込む強酸性の温泉によって、川のpHが1.2と異常に低い値を示します。そのため、魚などの生物は生きることができません。

死の川を群馬産石灰で中和(草津中和工場)

pH1.2であると川の下流までずっと魚などの生き物が生息できないため、石灰を使って中和しています。石灰は群馬産ということですが、産地は分かりませんでした。恐らく関東山地付近と思われます。

参考資料

鬼押出し園 | ググっとぐんま公式サイト|群馬の観光・イベント・名産や世界遺産情報 (gunma-dc.net)

04 浅間山がもたらした稀有な景観︱B 鬼押出しエリア | 浅間山北麓ジオパーク (mtasama.com)

カルチャー – レジャーガイド – (一社)嬬恋村観光協会 (tsumagoi-kankou.jp)

浅間山天明噴火時の鎌原火砕流から泥流に変化した土砂移動の実態 (jst.go.jp)

たび重なる火山活動「本宿陥没」と「妙義火山」 | 下仁田ジオパーク (shimonita-geopark.jp)

下仁田ジオパーク (shimonita-geopark.jp)

神流町恐竜センター|恐竜骨格の展示や化石発掘体験ができる!
神流町恐竜センターでは、恐竜骨格の展示や化石発掘体験、レプリカ作製体験が楽しめます。恐竜の化石や標本などを本館と別館で展示。野外展示のティラノサウルス産状骨格(12m)もあります。
ストーリー02:太平洋と日本海を分けた古い火山地帯 | 下仁田ジオパーク
河岸段丘
沼田市公式ホームページ
利根川水系片品川流域の地形発達史
J-STAGE
地理院地図 / GSI Maps|国土地理院
地形図、写真、標高、地形分類、災害情報など、日本の国土の様子を発信するウェブ地図です。地形図や写真の3D表示も可能。

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