地学の楽園シリーズ 静岡編の詳細

地学の楽園

皆さんこんにちは、先日から「地学の楽園シリーズ」と題して、Twitterのほうで各都道府県の地学スポットを紹介していますピカイア(@pikapikapikaia)です(見てくださった皆さん、ありがとうございます!!)。

この企画では各スポットを「クソデカ鍾乳洞」や「チャート!!」といった具合で、キャッチフレーズで紹介しています。そのため、それがどこなのか、そして画像付きで解説が欲しいなど多数の声をいただいたので、私のブログを使って紹介しようと思います。

このページでは第三弾の静岡県のジオスポットを紹介します。

なお、化石産地や鉱物産地は産地保護の観点から詳細な場所の紹介はしません。こちらは各自でお調べください。

断層でずれた神社(火雷神社)

火雷神社は函南町にある神社で、丹那断層による北伊豆地震(1930年)によって鳥居と階段が1mずれ、その状態が現在も残っています。

火雷神社について(伊豆半島ジオパーク)

海に囲まれた謎の淡水湖(大瀬崎)

大瀬崎は沼津市にある岬で、海に囲まれた岬の中にある「神池」が淡水であるという不思議な場所で、「伊豆七不思議」のひとつに数えられます。地形名は砂嘴(さし)です。

9㎞にわたる断崖(城ヶ崎海岸)

城ヶ崎海岸は伊東市にある岩石海岸です。近くの大室山から流れ出た溶岩が海に達してできました。この海岸では溶岩が六角形に割れた柱状節理を多く見ることができます!

お椀を伏せたような火砕丘(大室山)

大室山は伊東市にある火砕丘(スコリア丘)と呼ばれる種類の火山です。伊豆東部火山群の火山のひとつで山焼きが行われることで、火山の形が分かりやすなっています。ちなみに、環境保護の観点から徒歩での登山はできず、リフトで登ります

天然クソデカ球状岩(かんのん浜ポットホール)

ポットホールは甌穴と呼ばれる地形(粒子が流れによって岩を削り穴を作った地形)です。この地形自体は国内でもたくさんの場所で見ることができるのでそこまで珍しくないのですが、この場所では穴をあけた直径70㎝の巨大な球状の岩を見ることができます。

※なお、この場所は危険なため、ガイドと同行するなどしないと行くことはできません。

柱状節理の滝(河津七滝)

河津七滝は河津町にある滝で、溶岩が六角形に割れることでできる柱状節理をいたるところで見ることができます。ちなみに七滝は「ななだる」と読みます。

柱状節理の海岸(爪木崎)

爪木崎は下田市にある海岸で、見事な柱状節理の海岸を見ることができます。おそらく伊豆半島で最も大規模な柱状節理の光景です

天窓が開いた洞窟(竜宮窟)

竜宮窟は下田市にある「海食洞」と呼ばれる地形で、上部の岩盤が崩落したことで天窓ができました。

砂丘を滑る!サンドスキー(田牛サンドスキー場)

田牛サンドスキー場は下田市にある海岸砂丘で、崖に砂が風によって吹き付けられてできました。そりを借りることで、斜面を滑ることができます。結構楽しいです!(体験談) 竜宮窟のすぐ脇にあるので行くならセットがおすすめです。

干潮になると島に歩いて渡れる!(三四郎島のトンボロ)

島と陸をむすぶ橋状の地形をトンボロ(陸繋砂州)と呼びます。この三四郎島のトンボロは満潮時は水没し、干潮時はわたることができる、島をつなぐ幻の橋となっています。

日本の青の洞窟(天窓洞)

天窓洞は西伊豆町にある海食洞と呼ばれる地形で、できかたは前述の竜宮窟と同じです。船を利用することで、海から洞窟の中に入ることができます

また、この天窓洞がある堂ヶ島は伊豆の松島と称されるほどの風光明媚な場所です。

世界最大の金塊(土肥金山)

土肥金山無料素材集、風景、観光 (hiwadasan.com)

画像はえいの旅様より

土肥金山は国内有数の金山で、最盛期は佐渡金山に次ぐ規模の金山でした。鉱山跡を見学することができるほか、ギネスにも認定された世界最大の金塊を見ることができます。また、砂金採り体験もできるとても楽しい施設です。

砂し(三保の松原)

三保の松原は世界文化遺産に指定されている松原で、新日本三景の一つにも数えられる場所です。この場所は波や沿岸流によって形成された砂し(砂嘴)と呼ばれる地形です。同じ地形は北海道の野付半島や沼津の大瀬崎などです。

巣穴の化石”鉄丸石”

鉄丸石という石を聞いたことがあるでしょうか? いわゆるノジュールという塊のことで、安倍川のほうで採集できるようです。鉄丸石について詳しく書いた論文を見つけたので共有します。

調査研究報告 第14号「葉山ー嶺岡構造帯の地球科学的研究」 | 神奈川県立 生命の星・地球博物館 (kanagawa-museum.jp)

リンク先の上から8番目の論文です。

日本三大崩れのひとつ(大谷崩れ)

出典:大谷崩 砂防事業 中部地方整備局静岡河川事務所ホームページ(大谷崩|砂防事業|国土交通省中部地方整備局 静岡河川事務所 (mlit.go.jp)

大谷崩れは安倍川源流部にある崩壊地で、宝永地震(1707年)により発生したといわれています。日本三大崩れに数えられ、見事な崩壊地形とV字谷を見ることができます。

ナウマンゾウ

ナウマンゾウのイメージ(画像は北海道のものなので静岡は関係ないです)

静岡県内ではたくさんのナウマンゾウ化石が発見されています。静岡市駿河区の有度丘陵、浜松市西区の佐浜、牧之原市で見つかっています。

ナウマンゾウは高さ2.5-3m程度の日本に生息していたゾウの一種で、名前はお雇い外国人の一人であるナウマンにちなんでいます。浜松市で見つかった化石は模式標本(種の基準となる標本)になっています!

フォッサマグナの西の縁(糸魚川静岡構造線)

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出典:中部地方整備局三峰川総合開発工事事務所ホームページ
三峰川総合開発工事事務所 (mlit.go.jp) 

本州の中央部(中部地方東部と関東地方付近)は地質的に見ると古い時代の地層が溝状になっており、その溝の中に新しい地層が溜まっています。この地域のことをフォッサマグナと言います。この溝の西の縁に当たる断層が糸魚川静岡構造線で、県内では安倍川付近を縦断しています。

よく、フォッサマグナ=糸魚川静岡構造線(糸静線)と誤解されがちなのですが、糸魚川静岡構造線はフォッサマグナの西の縁に当たる断層です。

クソデカ鍾乳洞(竜ヶ岩洞)

竜ヶ岩洞(りゅうがしどう)は浜松市北区にある鍾乳洞で、地主の許可を得て調査した愛好家によって発見されました。秩父帯と呼ばれる地層の石灰岩によって形成されています。

東海地方最大級の鍾乳洞で全長1000 M のうち400 M が一般に公開されています。

竜ヶ岩洞(りゅうがしどう) ミステリアスケイビングリゾート 静岡県浜松市北区引佐町の洞窟・鍾乳洞 (doukutu.co.jp)

世界有数の隆起地帯(赤石山脈)

聖岳

赤石山脈は静岡市葵区などにある日本アルプスの山脈の一つで一般的に南アルプスの名で親しまれている山脈です。フィリピン海プレートの沈み込みに伴って急激に隆起しています。

奥大井の渓谷美(接阻峡・寸又峡)

接岨峡(せっそきょう)は川根本町の大井川上流のV 字谷と還流丘陵(川の蛇行が激しい地域で、川によって侵食されなかった場所が丘となって残ったもののこと)、穿入蛇行が連続するとても美しい渓谷です。渓谷沿いには大井川鐵道が通っており、渓谷内にある接岨湖の上にある奥大井湖上駅が有名です。

寸又峡は、大井川の支流の寸又川にある渓谷で、こちらも V 字谷、還流丘陵、穿入蛇行が美しいです。こちらの渓谷にある夢の吊り橋が有名です。

浜北原人(浜北人)

浜北人は浜松市浜北区で発見された旧石器時代の人骨の化石です。旧石器時代の人骨は本州の他の場所では見つかっておらず、本州最古の人骨の化石です。

複製が浜松市市民ミュージアム浜北で見学することができます。

陸上では珍しい玄武岩質成層火山(富士山)

日本一高い山である富士山は、玄武岩と言う海底火山などによく見られる岩石でできています。日本の陸上にある火山の多くは安山岩質ですので珍しいです。富士山麓ではパホイホイ溶岩と呼ばれる玄武岩質のマグマの溶岩流の跡を見ることができます。

溶岩トンネル(駒門風穴)

駒門風穴(こまかどかざあな)は御殿場市にある溶岩によってできたトンネルです。1万年前ごろにおきた新富士火山の噴火の溶岩でできているので、山梨県の鳴沢氷穴などとは違う時期の噴火のものです。

風穴は溶岩が固まる時に外側だけ固まり内側の溶岩が流れ出してできます。

日本最大級の崩壊地(大沢崩れ)

出典:国土交通省 中部地方整備局 富士砂防事務所
国土交通省 中部地方整備局 富士砂防事務所 (mlit.go.jp)

大沢崩れは富士山の西斜面にある日本最大級の崩壊地です。今までに東京ドーム60杯分(ピンとこないですね)土砂が崩壊しました。

参考資料一覧

浜北人 根堅遺跡見にきてね:中日新聞しずおかWeb (chunichi.co.jp)

風穴とは – コトバンク (kotobank.jp)

国土交通省 中部地方整備局 富士砂防事務所 (mlit.go.jp)

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