地学の楽園シリーズ伊豆諸島北部編の詳細

地学の楽園

皆さんこんにちは!Twitterの方で「地学の楽園シリーズ」と題して各県の地学スポットを紹介しているピカイア(@pikapikapikaia)です。ご覧くださったみなさん、ありがとうございます。毎回多くの反響があってとてもうれしいです。この企画を通して地学に興味を持っていただいたり、調べたり、実際に足を運ぶきっかけになればと思っています。

さて、今回は第7弾の伊豆諸島北部編の詳細です。

伊豆諸島北部は大島から神津島とその周辺としました。今回は島嶼部、火山特有のジオスポットが多く作っていて楽しかったです。

内容に誤りがあったり、誤字誤植があればコメントの方から教えてください。

なお、化石産地や鉱物産地は産地保護の観点から詳細な場所の紹介はしません。こちらは各自でお調べください。

伊豆諸島北部の島紹介

今回は伊豆諸島というマイナーな地域を紹介するのでイメージがわかない人がいると思いますので各島についてざっくり紹介します。

伊豆諸島北部には大島、利島、新島、式根島、神津島といった有人島。鵜戸子島、早島、銭洲といった無人島や岩礁。大室ダシや新島ウラノ瀬などの海山があります。

ここでは有人島各島について紹介します。

伊豆大島

伊豆大島は伊豆諸島最大の島で、人口は6000人を超えます。島の中央には活火山である三原山があり、観光名所となっています。椿やべっこう寿司、明日葉が名産で、東京からはジェットフェリーで2時間半で行けます。

伊豆大島巡検紀
2019年某日。相模灘に浮かぶ火山島、東京都は大島町の伊豆大島に行ってきました。個人的に初めて伊豆諸島上陸です。フェリーで向かう伊豆大島今回島まで行くのにはフェリーを使いました。運賃は往復で破格の4000円...

上は投稿主が行った時の巡検記です。ジオスポットをいろいろ巡ったので良ければ読んでいただきたいです。

利島

利島は外周7.7㎞の小さな島で、島中央の火山を中心に円錐状の形をした火山島です。島の大部分は森林におおわれ、高さ200m程度の海食崖が島の外周にあることが特徴的です。

新島

新島は白い砂浜で有名な島です。これは流紋岩質の溶岩からなる島だからです。島内では世界でも伊豆諸島とイタリアでしか取れない貴重なコーガ石が産出します。

式根島

式根島は島全体が岩でごつごつした島です。この島でもコーガ石が産出します。

神津島

神津島は黒曜石(オブシディアン)で有名な島です。たびたび激しい噴火を起こしており、838年には噴火で島民が全滅しています。

カルデラ

イメージがないかもしれませんが伊豆諸島には多数のカルデラがあります。北部にあるカルデラで有名なものは伊豆大島の伊豆大島山頂カルデラでしょうか。このカルデラの中央に1986年に噴火した三原山があります。このほかにも海山の大室ダシ、新島ウラノ瀬付近にもカルデラはあります。

1986年に噴火 全島避難

伊豆大島のシンボル的存在である活火山の三原山は1986年に噴火を起こしています。噴煙高度が1万mを超える大きな噴火で、最終的に全島民と観光客の1万3千人が島から脱出しました。

日本唯一の砂漠(裏砂漠)

裏砂漠は三原山北東部に分布する黒い軽石であるスコリアが一面を覆う場所のことで、地理院地図で唯一砂漠と表記されていることから日本唯一の砂漠といわれています。

鳥取砂丘や猿ヶ森砂丘は砂でおおわれていますがあくまで砂丘で、砂漠ではありません。

火道の痕跡(筆島)

筆島は伊豆大島の東の沖にある島で、ろうそくのような形をしていることが特徴的な島です。この島はもともと火山のマグマが火口に達するまでの通り道である火道で、その火道に溜まったマグマが冷えて固まり、火山自体は風化して無くなったことによってこのような切り立った断崖に覆われた島ができました。

火山博物館

伊豆大島火山博物館は国内でも珍しい火山に特化した博物館です。館内には1986年の三原山噴火に関する展示をはじめとしたさまざまな展示を楽しむことができます。火山ファンの方々にぜひおすすめしたい場所です。

バームクーヘンみたいな地層(地層大切断面)

地層大切断面は大島南部にある大規模な露頭で、道路工事をする際に発見されました。The地層! といった感じの露頭は地層に興味がある方もそうでない方も圧倒されると思います。ちなみにこの露頭は褶曲しているように見えますが実際はそうではなく、もともとデコボコしていた場所に火山灰が降り積もってできたのだそう。

火口を港として活用

伊豆大島南部にある波浮港は火山によってできたマールと呼ばれる火口湖が津波によって海とつながり、湾となったため、現在は港として活用されています。

噴火すると首都圏に津波の可能性(大室ダシ)

大室ダシと聞いても日本人の99.9%くらいはピンと来ないのではないかと思います。私自身も今回初めて知りました。大室ダシは伊豆大島の南20㎞にある海底火山で、噴火すると首都圏に津波が来るのではないかといわれています。

巨大な海食崖

利島には高さ200mの巨大な海食崖(海に侵食されてできた崖)があります。

世界的に珍しい”コーガ石”

コーガ石(抗火石)は流紋岩質のスポンジ状の岩石で簡単に加工できるという特徴を持っています。このコーガ石は日本では新島、式根島、神津島と伊豆の天城山で産出し、このほかにはイタリアのリーパリ島でしか産出しないという非常に珍しい岩石です。

コーガ石からできたオリーブ色のガラス(新島ガラス)

新島ガラスはコーガ石からなる砂から作られたガラスでオリーブ色がとても特徴的です。

急崖に囲まれて上陸困難(鵜渡根島)

鵜渡根島はとてもマイナーだと思います。この島は利島と新島の間にあり、断崖絶壁に覆われています。かつて少数ながら人が住んでいたようですが、現在は無人島です。

流紋岩の白い砂浜(新島の砂浜)

新島は流紋岩質のマグマからなるので、色が白い砂が美しいビーチを形作っています。

新島と式根島の津波分離説はデマ

新島と式根島はかつてつながっていて、それが元禄地震の津波によって分離されたという説がありますが、裏付ける学術的な根拠は見つかっていません。

838年に噴火で島民全滅(神津島)

神津島は溶岩ドームを持つ流紋岩質の火山を持ちます。流紋岩質マグマは激しい噴火を起こしやすく、神津島は島民が噴火で全滅したことがあります。伊豆諸島ではほかにも鳥島や新島でも島民の全滅が起きています。

黒曜石(神津島の黒曜石)

神津島は黒曜石の一大産地として知られ、関東各地の遺跡で神津島産の黒曜石の石器が見つかっています。

大隅石の産地

大隅石は菫青石に似た鉱物で世界三大ヒーリングストーンとして名高いスギライトと同じグループです。

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