京都府のジオスポット28選!(地学の楽園京都編)

地学の楽園

皆さんこんにちは、Twitterの方で「地学の楽園シリーズ」と題して各県の地学スポットを紹介しているピカイア(@pikapikapikaia)です。見てくださった方々、ありがとうございます。毎回多くの反響があってとてもうれしいです。この企画を通して地学に興味を持っていただいたり、調べたり、実際に足を運ぶきっかけになればと思っています。

さて、今回は京都編の詳細です。県内の地学的スポットを28個ご紹介します!

なお、鉱物産地や化石産地は一部詳細な紹介はしていません。

P-T境界の露頭

大量絶滅と言えば白亜紀末に隕石が落ちて恐竜が絶滅したものが有名ですが、実はペルム紀末期(2億5100万年前)にそれより大きな規模の大量絶滅がありました。90%の種の生物が絶滅しているもののその原因はいまだ未解明というものです。

この大量絶滅を境に地質時代は大きく古生代と中生代に区切られています。そして、この境界をP-T境界と言います。Pはペルム紀(Permian)、Tは三畳紀(Triassic)から来ています。

福知山市三和町ではこのP-T境界の連続露頭を見ることができ、世界的に貴重だそうです。

日本三景の美しい砂州(天橋立)

日本三景の一つ、天橋立は日本神話中に登場したり、小倉百人一首の和歌の一つ「大江山いく野の道の遠ければ まだふみもみず天の橋立」として読まれていたりと、昔から人々に親しまれてきた場所です。

この天橋立は地形としては砂州と呼ばれるもので、宮津湾の沿岸流と付近の川の流れの具合から、あのような形の砂州が堆積することになりました。

砂がキュッと鳴きます(琴引浜)

京丹後市にある琴引浜は砂を踏むと音が鳴る鳴き砂の浜として知られています。

鳴き砂は石英質の砂でできた浜で見られます。石英は摩擦係数が高いので、踏んだりして力を加えると一般的な砂と異なった大きな音を出します。

鳴き砂を実際に鳴らす様子を映した動画がYouTubeに上がっていたので共有します。

付近には琴引浜鳴き砂文化館という世界でもおそらくここだけの鳴き砂に関する施設が存在します。

琴引浜鳴き砂文化館 – 琴引浜鳴き砂文化館の公式ホームページです。

安山岩の柱状節理(経ヶ岬)

丹後町の経ヶ岬(きょうがみさき)は京都府最北端の岬で、安山岩でできた柱状節理が発達していることが知られています。

柱状節理は溶岩が冷えて固まるときに収縮することによってできる地形です。六角柱状の幾何学的なその様子は人工的にできたのではないかと疑ってしまうほどです。

当地の柱状節理は安山岩でできているため灰色となっています。

色とりどりの礫‼(五色浜)

五色浜と呼ばれる浜は日本各地にあります。

ここ、京都の京丹後市の五色浜は様々な色のチャートの礫でできた礫浜で、色とりどりな礫を楽しむことができます。

ただ、浜は狭く、場所は限られています。

また付近には侵食によってできた奇岩が数多く見られます。

クソデカ岩&柱状節理(立岩)

京丹後市にある立岩は巨大な一枚岩で、浜辺の中に突如として現れます。

安山岩でできており、表面には柱状節理が発達しています。

北丹後地震の断層露頭(郷村断層)

北丹後地震は1927年に起きた地震でマグニチュード7.3、死者・行方不明者2912人と大きな被害を出した地震として知られています。

この地震の発生を機に活断層という言葉が使われるようになったことでも知られています。

この地震は郷村断層と山田断層の2つの断層によって発生したことが分かっており、このうち郷村断層は地上に出た部分が保存されており、現在でも見ることができます。

断層によって道路がずれている様子が分かる。

潟 有ります

潟はラグーンとも呼ばれ、砂州によって海と区切られることによってできる地形です。

久美浜湾は典型的な潟で、周辺には温泉が湧いたりと観光地としても知られています。

そろばん玉石

そろばん玉石は玉髄という鉱物のうち、そろばんの玉の形をしているものを指します。

新鉱物“河辺石”

河辺石はイットリウムやウランなどの珍しい元素を含む鉱物です。河辺は発見地の地名で、今の京丹後市内にある河辺村から来ています。

京都唯一の火山(田倉山)

京都には火山が少なく、田倉山(たくらやま)が唯一の火山となっています。

田倉山は玄武岩質の標高350mの火山で、スコリア丘と呼ばれる、スコリアという火山噴出でできた山も見られます。

夜久野のビカリア

夜久野は現在の福知山市にあった町です。

ビカリアは温暖な地域で生息していたと考えられる絶滅した巻貝で、日本各地で産出が報告されています。古第三紀始新世(5600万年前)~新第三紀中新世(530万年前)に生息していました。

ヒルギシジミ属というマングローブに生息するシジミとともに産出するため、マングローブが発達していたことも考えられます。

アンモナイト!

夜久野町には中生代三畳紀の夜久野層群の地層が分布しており、アンモナイトの産出が報告されています。

付近には夜久野町化石・郷土資料館があり、化石の展示が行われているようです。

素晴らしき柱状節理(夜久野の柱状節理)

夜久野町には前述の京都唯一の火山、田倉山の噴火による溶岩が流れてきたことが分かっています。

その溶岩が冷却する際に、収縮してできた柱状節理がこの場所で発達しています。

やくの玄武岩公園では玄武岩でできた見事な柱状節理を楽しむことができます。

山に向かって流れる川

京都を流れる有名な川、桂川。その上流部にある亀岡市では桂川が平野部から山へと突っ込んでいく様子を見ることができます。

山の中には急流下りで有名な保津峡があります。

これは付近にある亀岡断層による隆起によってみられます。もともと山は無かったのですが、隆起して山ができました。

通常、山ができれば川の流れは寸断されて別な場所に流れていくのですが、桂川は下方侵食と呼ばれる、下向きに侵食する力が大きかったため、

隆起速度<侵食速度

となり、山の中に深い渓谷を作って流れていくこととなりました。

こういった河川は先行河川と呼ばれます。

京都唯一の鍾乳洞(質志鍾乳洞)

質志(しづし)鍾乳洞は京都唯一の鍾乳洞です。石灰岩でできており、洞内では鍾乳石を楽しむことができます。

質志鐘乳洞公園 - 京丹波町観光協会

三畳紀の示準化石モノチス

モノチスは三畳紀に繁栄した二枚貝で、世界中で化石が発見されており、京都市内でも産出が報告されています。

謎多かった生物“コノドント”

コノドントはカンブリア紀~三畳紀の地層で世界各地で発見されている~1㎜程度の歯の化石です。

歯は見つかるものの、そも持ち主となる生物が長年不明で謎の化石でした。

現在では脊椎動物のクリダグナサスなどの歯であることが分かっています。

ゴルフ場で見つかったシカ化石

京都市西京区にあるゴルフ場には大阪層群の地層が分布しており、ここからシカの化石が発見されました。

九州から飛んで来た火山灰(Aso-1火山灰)

京都市伏見区の地層を調査したところ、熊本県の阿蘇山の大規模な噴火によってもたらされた火山灰が発見されています。阿蘇山の噴火は何度も起こっており、27万年前の噴火によるテフラ(火山灰などの火山噴出物)はAso-1(アソワン)と呼ばれています。

地磁気逆転の地層

京都市伏見区にある露頭では、地磁気の逆転が起きた松山/ブリュンヌ境界を含む地層が国内で初めて見つかりました。

現在は露頭は消失しているそうです。

西日本に珍しい高層湿原(深泥池)

深泥池は京都市北区にある湿原です。高層湿原は高地で発達しやすい湿原です。

氷河期の生き残りの生物も見られます。

京都市内を走る活断層(花折断層)

花折断層は滋賀県今津町から京都市左京区に至る活断層で、地震が発生した場合、京都市街の多くの場所で震度6強~震度7の揺れが発生する可能性があります。

京都市:ページが見つかりません

扇状地(白川扇状地)

白川扇状地は花崗岩が風化してできた粒子によってできた扇状地で、土石流によってできました。

京都最大のスカルン

如意ヶ嶽には京都最大のスカルンが見られます。

スカルンは石灰などの炭酸塩でできた岩石にマグマが入り込んできたときにできる、鉱物が多数産出する集合体です。

白亜紀の高マグネシア安山岩

高マグネシア安山岩は西日本でいくつかの場所で見られる岩石です。

香川県で産出する、叩くとカンカンと音が鳴る、サヌカイトが有名です。

枕状溶岩

枕状溶岩はマグマが水と接触した際に表面だけ薄く殻状に固まり、その殻が内部で流動する溶岩に破られることによってできる構造のことです。京都市右京区で見られる枕状溶岩は大変明瞭な状態を示すそうです。

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参考資料

地形・地質・自然現象|京都府レッドデータブック2015
京都市:ページが見つかりません
京都盆地東縁の白川扇状地における更新世末以降の堆積環境の変遷
J-STAGE

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