みなさんこんにちは
今回は地質用語のマトリックスについて解説します。
地質系の教科書や論文を読むと当然のように出てくる単語ですが、その意味を詳しく説明できない方も多いと思います。
マトリックスとは
マトリックス(matrix)はマトリクスとも言うことがあり、日本語では基質(火成岩の場合は石基とも)と呼ばれます。
石基は中学校や高校の地学で火山岩を構成するニ種類の結晶として、斑晶と石基を学んだかと思います。斑晶は大きく成長した結晶の粒。石基は斑晶の間の微細な結晶として習います。
英単語のマトリックス(matrix)の意味は母体、土台、基盤といったものです。
地質用語のマトリックスはここから派生し、大きな粒子の間を埋めるものという意味で使われます。大きな粒子の土台となるもの、基盤となるもの、隙間を埋めるものというわけです。
岩石中のマトリックスは主に火成岩と堆積岩で見られます。
火成岩におけるマトリックス
火成岩のマトリックスは主に火山岩で見られ、大きな結晶粒子の間を埋める微細な結晶である。
微細なのは急冷されたために結晶が成長しなかったためである。
こちらの安山岩の画像を見ると、大きな角閃石の結晶の周りを微細なマトリックスが埋めている様子が分かります。
堆積岩におけるマトリックス
堆積岩には様々な大きさの粒子が含まれます。
特に礫岩は礫だけでできているわけではなく、礫の間をマトリックスが埋めています。また、凝灰角礫岩なども同様です。
この礫岩(玄武岩火山角礫岩?)の場合のマトリックスは砂やシルトや泥などの粒径の小さい砕屑物※です。
※砕屑物:砂や礫、泥などの大きな岩石が砕かれたことによって生じたもの
参考資料
鈴木淑夫.岩石学辞典.朝倉書店,2009
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